市販のデニムを作業服として着用してみた

作業服9

今では定番のファッションアイテムであるデニムですが、元々は1850年代にカリフォルニアの炭鉱夫たちが作業着として着用し始めたのがその由来と言われています。ということは今でもデニムは作業着にぴったりではないのかと思い、実際に農作業用の作業着としてデニムを着用してみて感じたメリットやデメリットを紹介していきますので、参考にしてみてください。

そもそも作業着としてデニムを着用してみようと思ったきっかけの一つに「すぐに汚れてしまう農作業用の作業着にわざわざお金をかけるのはもったいない!」という気持ちがありました。

そのため、私が着用したのはすべて普段は私服として着用していたが古くなったデニムで、どれも良く知られたデニムの専門ブランドのものです。

デニムの作業着を着用してまず最初に感じたメリットは一般的なグレーやライトブルーの作業着に比べてデニムの作業着はその汚れが目立ちにくいということでした。農作業の場合、ちょっとした泥はねなどで特にパンツはすぐに汚れがついてしまいます。

こうした汚れは畑で作業をしている場合にはそれほど気になりませんが、例えば収穫した野菜を飲食店や個人のお客様に配達する時にはやはり気になるものです。中でも、勝手口がない飲食店では、お店の入り口から野菜を搬入しなければならず営業時間内であれば来店客もいるのでなおさらです。

そのため、それまでは作業着の汚れが目立つ時には一旦、着替えてから配達に出かけていました。もちろんデニムでも汚れがひどい場合には着替えて配達に出かけていますが、それまでに比べると着替える回数は1/3以下に減ったのではないかと思います。

一般的な作業着とデニムを比べた場合、どちらも擦れや裂けなど生地のトラブルを感じることはほとんどありませんでしたが、一般的な作業着で多かったのが縫い糸がほつれたり、ボタンが破損したりするトラブルでした。しかし、デニムの場合には縫い糸がほつれることはほとんどありませんでしたし、ボタンは金属製なので破損したことは一度もなかったです。

また、草刈り機を使用する際に化繊でできた作業着を着ていると本体の熱や排気熱によって生地が溶けてしまうことがありましたが、デニムではそうしたトラブルもありませんでした。

新品の作業着は生地がパリッとしていて見た目もそれほど悪くないのですが、洗濯による劣化などで次第にヨレヨレになります。このくたびれた作業着はとても「味わい」と呼べるものではなく、だらしない印象になってしまいます。

しかし、さすがはファッションアイテムとしても色落ちを楽しむデニム。作業着として着用し続けた場合でも、その色落ちは「味わい」となって、こなれた雰囲気を演出してくれます。

農作業中は植物の棘や木の枝なのが肌に刺さってしまったり、のこぎり鎌を使っている時に勢い余って鎌が足に当たって出血したりすることがあります。しかし、デニムの場合には生地に厚みがあるので、こうしたトラブルから肌を保護してくれるのも大きなメリットです。

最近はオシャレな作業着も増えてきましたが、それでも私が作業着を着たくない理由の一つにどうしてもダサいと感じてしまうことがあります。先に「デニムは汚れが目立ちにくく配達の際に着替える回数が減った」と述べましたが、そもそも作業着の場合には汚れていなくてもダサいと感じていたので、それだけで配達の際にどこかそわそわした気持ちになっていました。

また、配達だけでなく畑から家に帰る途中にスーパーなどで買い物をする際にも作業着だと、やはり周囲の人からの視線が気になりますし、知り合いに会いたくないとも思っていました。もちろん、作業着がダサいと感じるかどうかは個人差がありますが、作業着でスーパーやコンビニに立ち寄ることに抵抗がある人にはぜひデニムをおすすめします。

作業着としてデニムを着用するのはメリットだけでなくデメリットもあります。中でも、最も大きなデメリットを感じたのが夏場の着用です。夏場の農作業はとにかく暑いですが、デニムは生地が厚くて密度も高いので通気性がほとんどなく熱がこもっていしまいます。

また、その時に着用していたのが濃いブルーだったこともあって光の吸収率も高く、夏用の薄手の作業着とは比べ物にならないくらい暑かったです。しかも、デニムはほとんどが綿100%なので、化繊が織り込まれた作業着に比べると生地がべたべたと太ももに張り付きやすく、速乾性がないので汗がなかなか乾かないのも気になりました。

伸縮性のないデニムパンツで気になったのは動きづらさでした。特に、農作業では頻繁に立ったりしゃがんだりしますが、とりわけしゃがむ時に窮屈に感じることが多かったです。そこで思いつくのがストレッチ素材ですが、ストレッチ素材のデニムパンツは細身のものがほとんどです。

細身でも伸縮性があれば動きやすいのですが、肌と生地の間にすき間がないので植物の棘などがパンツに刺さった場合などに怪我をする可能性が高くなります。

作業着で大切なのがポケットの機能性です。農業の場合でもちょっとした道具や野菜の種などをポケットに入れておくことが多々あります。一般的なデニムパンツの場合、前ポケットと後ろポケットですが、デニムパンツの前ポケットは口の部分が狭いので出し入れが不便ですし、後ろポケットに何かを入れるとしゃがんだ時に痛いこともあります。

これに対して作業服の場合、前ポケットは口が縦方向に広いため出し入れしやすいですし、カーゴタイプであれば太ももの外側に大きなポケットがついていて収納力にも優れています。秋冬など上着を着るシーズンであればポケットの収納にそれほど困りませんでしたが、夏場など上着が不要なシーズンにデニムパンツを着用していると収納に不便を感じることが多かったです。

デニムはパンツもジャケットも作業着としての機能性が高いアイテムですが、デニムオンデニムと言われる上下ともにデニムのコーディネートは着こなしが難しく、一歩間違えればかなりダサくなってしまいます。ちなみに、私はデニムオンデニムをする勇気がなかったので、デニムをカーゴパンツやナイロンパーカーなどとコーディネートしていました。

丈夫なイメージのあるデニム生地ですが、ダメージ加工されたものは意外とすぐに破れてしまいます。もちろん、作業着として着るわけなので大きなダメージ加工がされたものは不向きですが、生地の擦れを出すためのちょっとしたダメージ加工が施されたものでもそこから生地が裂けるように破れてしまうこともあります。

ちなみに、私は年間1本ほどのペースでダメージジーンズが破れています。